
電力料金の高騰、原発稼働で防げたか 経済学者に聞いた:朝日新聞
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有料記事 聞き手・伊藤弘毅2021年4月18日 7時00分
電力のスポット市場で全国的な価格指標が平年の10倍超――。昨年末から今年初めにかけて、こんな日が続いた。新電力会社が経営破綻(はたん)し、月に支払う電気代が平年の数倍に跳ね上がる消費者も表れた。SNSでは「原発の再稼働をすれば済む話だ」など、動いている原発が少ないことに原因があるとする投稿が相次いだ。こうした意見について、エネルギー政策に詳しい東京大学の松村敏弘教授に尋ねた。原発の再稼働や新増設で「市場高騰」は防げますか?
Q 卸電力市場の価格高騰は、なぜ起きたのでしょうか。 A 主な要因は、火力発電所の燃料となる液化天然ガス(LNG)不足です。寒波で暖房需要が高まるなか、石炭火力発電所の予定外の停止といったトラブルも重なり、電力各社は主にLNG火力で需要の急増に対応せざるを得なくなりました。
通常ならスポット取引で追加調達できますが、パナマ運河の渋滞などで産地から輸送船の到着が遅れたり、中国や韓国でも需要が高まって「奪い合い」が起きたりといった不運も重なり、在庫が不足して各社はLNG火力を十分に動かせなくなってしまいました。市場で売られる電気の量が急減し、取引価格がつり上がりました。
ただ、こうして市場価格が上がったことと、価格高騰が何日も続くような状況に市場が陥ったことは、区別して考えなければなりません。 Q どういうことでしょうか。 A 卸市場ではこれまでも、1… この記事は有料記事です。残り2254文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 ※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません この記事を書いた人 * 伊藤弘毅
アジア総局員兼ニューデリー支局員|アジア経済担当 フォロー * 専門・関心分野 南アジア、東南アジア、開発、エネルギー